男性不妊の治療について。私の経験を語ります。【精索静脈瘤】

妊娠

いらっしゃいませ!

ヒロノカフェへようこそ。店長の中井です。

前回の記事で、男性にも不妊の原因が約30%あるというお話をさせていただきました。

https://hironocafe.com/男性にも不妊の原因がある。手術まで経験した私/

前回の記事の最後に、私の経験を書きますとしていました。

よって今回の記事はこんな目次になります。

・男性不妊の病気の種類について紹介

・私が診断された病気、その治療や検査について

この記事を読んでいただくことによって、

*男性不妊について、男女お互いに理解する

*女性に不妊の検査や治療を勧める際に、男性も行動に移せるように

*男性側の負担を感じてもらうことで、女性の不妊治療のさらなる厳しい負担を知る

ということが理解出来ます。

お互いの負担を理解し、子作り、人生設計のお役に立つはずです。

頑張って読み進めてください。


男性不妊の病気とは?

男性不妊の病気は大きく分けると以下のようなものに分類されます。

●精子形成障害

●精路通過障害

●副性器機能異常

●性機能障害

これらの障害を引き起こす疾患や状態が、それぞれに存在しています。

有名なところを少しだけご紹介すると、

精子形成障害

というものの中には

  1. 無精子症
  2. 精索静脈瘤
  3. 染色体異常

などがあります。

私の場合は上記でいうと2番の精索静脈瘤に該当します。

ちなみに性機能障害、というのは、いわゆる『ED』というやつです。

バイアグラなどを使って治療する病気として有名ですね。

男性不妊と一言で表しても、色々あるということがお分かりいただけたかと思います。


私が診断された病気、その治療や検査について

私は精索静脈瘤という病気でした。

どういう病気かというと

精索の静脈(つるじょう静脈叢)が怒張し、その程度が強い場合は陰嚢に怒張した血管をみとめます。 (中略)

静脈のうっ血により陰嚢内の温度が上昇して、精巣の発育不全、精子の形成不全を引き起こし、男性不妊の原因になると考えられています。

http://www.asa-hosp.city.hiroshima.jp/diagnosis-info/section20/1095.html より

私の場合は左の陰嚢が小さく萎んでしまっていました。

診察室のベッドで私の状態をみたドクターはその瞬間に、

「あーこれね」

と言いました。すぐに病名は浮かんだし、そこそこ重症ということも判断出来たそうです。

立った姿勢で、呼吸を止めて息むように指示されました。そうすると、萎んでいた左の陰嚢の辺りの静脈が一気に膨らんで怒脹したんです。

ちなみにこの病気は3つのグレードで、その重症度を分類しています。

  • グレード3 視診で静脈瘤を確認できる
  • グレード2 立位(患者が立った状態)で触り、確認できる
  • グレード1 立位腹圧負荷(Valsalva maneuver)で触り、確認できる

私はグレード3、最も重症でした。

なので、投薬でどうする、ということも出来ませんでした。治したいなら手術一択ということでした。

その日では決められず、また経過もみたいから、その間に手術するかどうか決めて欲しいということで2か月ほど検査で通院することになりました。

で、この検査というのが、男性不妊の治療の中で1つハードルになる人がいるかもしれない内容でした。


精液検査の流れについてご紹介

この病気になると、精子の状態が悪くなっています。状態、というと抽象的ですが、もう少し詳しくいうと、『精子の動き』が悪くなるということです。

精液検査で診る項目は以下の通りです。

~精液検査の基準値~
精液量2.0ml 以上
pH702 以上
精子濃度20×106/ml 以上
総精子量40×106/ml 以上
精子運動率50% 以上
精子正常形態率15% 以上
精子生存率75% 以上
白血球数1×106/ml 以上

私は量や濃度はギリギリ正常範囲だったことが多かったのですが、

「運動率」「正常形態率」

この2項目がかなり悪かったのです。

この精液検査、どういう手順でするか。

男性としては興味あるかもしれません。

私が受けたパターンとしては2パターンあります。

  • 病院内で検査を受ける場合
  • 自宅で採取して検体を病院に持参する場合

このどちらかになると思います。

病院で検査を受ける場合

この場合はこんな感じで検査が進みます。

  1. 診察受付
  2. 検体採取のためのカップをもらう
  3. 個室にて検体(精液)採取
  4. 個室から直接検査室に検体を提出
  5. 1時間前後くらい待つと検査結果が出る
  6. 診察

ここで男性にとってハードルが高いのが②と③になると思います。

②のカップをもらう時、同時にDVD(私の通院先は100均であるようなケースに入れられていた)を10枚渡されます。

このDVDは『AV』、つまりエッチなDVDです。これを看護師から手渡しされます。そして毎回誓約書みたいなものを書かされます。

もしDVDを破損、紛失したら弁償します、という内容のものです。渡される時と、検体採取が終わってDVDを返す時、看護師と枚数のチェックを一緒にしました。

この辺りの作業が、人によったら辛い、というか恥ずかしいかもしれませんね。私も最初はこれが結構恥ずかしかったです。別にその看護師が何を思っているわけでもないとわかっていても。

だってないでしょう?普通に生活していて、AVのDVDの枚数をチェックするなんて作業は。

そして③のポイント。別に自慰をしたいタイミングでもないけど、個室に入って、カップに向かって採取しないといけないわけです。

私が通院していた病院のその個室は、ほぼ完全な防音。そしてヘッドホン付のブラウン管テレビとソファが置いてありました。その環境下で検体を採取します。

この②と③の所が、男性不妊の検査で精神的に少し辛いかもしれません。女性の検査に伴う心身の苦痛と比べると、大したことはないのかもしれませんが。

自宅で採取して検体を病院に持参する場合

この場合は以下の通りに進みます。

  1. 事前に検体採取用のカップをもらっておく
  2. 検体を提出出来る時間帯の2時間以内の時間で、自宅で検体採取する
  3. カップが温まらないようにクーラーボックス(袋やケース)である程度冷温の環境で保管、運搬し、検体採取から2時間以内に病院に提出する
  4. その日に診察を受けても良いし、後日診察でも可。

病院の検体提出出来る窓口は、平日しか空いていません。平日仕事だと、どうしても朝か夜、仕事前か勤務後のどちらかでの検体採取になります。

私の場合は当時、平日7時半には自宅を出発する生活をしていたため、大体朝7時に検体採取を自宅で行っていました。

そして朝9時までに当時のパートナーに提出してもらうように依頼をして出勤していました。

自宅で早朝から、仕事に行く前から自慰行為の結果、検体採取をするという、疲れもするし、背徳感は言い過ぎかもしれませんが、妙な罪悪感も覚えました。

これらのパターンで検査を数か月して経過を見ても、状況が特別変わることも無かったし、当時から子供が欲しかったこともあり、私は手術することを決断しました。


手術について(大体1泊か2泊の短期入院)

手術は以下のような手技があります。

どの手術方式で行うかは、病気のグレード、身体状況、主治医の方針によるでしょう。

私は低位結紮術での手術になりました。1泊2日でした。

手術時間は90分ほどだったと思います。

チクチク痛みを感じたら執刀医に自分が直接「痛いです」と報告して、創部に局所麻酔を足してもらうという感じです。局所麻酔だから意識はしっかりしています。ただ、当たり前ですが麻酔が掛かっていますので感覚はわずかにある程度です。

手術自体は医師にお任せだし、こちらは特に何もすることはありません。

少し厄介なのは術後すぐです。

私は夜一番最後の手術でした。

終わったのが夜11時頃。

自室のベッドに戻ったら、翌朝の主治医のチェックがあるまで身動き取ることが禁止なんです。傷口開いたらいけないし、局所とは言え麻酔を掛けた後なので、ふらついて転倒してもいけないし。

そして術後管理の一環として、1~2時間毎に看護師が血圧と体温測定に来るのです。

さて、この2つが意味することは?

  • トイレに立てない(紙で出来たTバックのようなオムツ的なものを履く)
  • 血圧測定のせいでほとんど熟睡できない

紙で出来たオムツに用を足してもいいと言われても、これがやはり出来ませんでした。患者さんの気持ちがわかる気がしました。トイレに行きたい感覚が少しありましたが、一晩我慢しました。

眠れないのは仕方ない。夜勤の看護師の方が眠そうでしたし(苦笑)

翌朝主治医の回診で、傷口のチェックをしてもらい、問題なければ動く許可をもらえます。痛みもそこまで私はきつくは無かったので、その日の午前中に退院しました。

でも、歩けないほどではないにしても、傷口はやはり痛みます。大事を取って翌日も仕事を休んだ事を覚えています。


術後の経過

手術をしたからと言って、いきなり1か月とかで成果は出ません。2か月後の検査では、結構良い結果になっていました。検査結果を無くしてしまったので公開できないのですが・・・

かろうじて残っていた結果があります。術後1年6か月の結果。これが最後の検査と診察でした。

前述した正常値は以下の通りです。

精液検査の基準値
精液量2.0ml 以上
pH702 以上
精子濃度20×106/ml 以上
総精子量40×106/ml 以上
精子運動率50% 以上
精子正常形態率15% 以上
精子生存率75% 以上
白血球数1×106/ml 以上

運動率が悪いですね。そして備考1の項目に「直進性不良な精子あり」と出ています。

術後半年をピークに停滞かもしくは少し下降した結果となりました。

この最後の診察の際、主治医からこんな言葉を掛けられました。

子供を授かるだけが人生じゃないので、奥様と二人で過ごすという選択枝も考慮された上で、よく話し合ってください」

私は直接この不妊治療が原因ではありませんが、結果としてこの後離婚しました。

この治療成績を見る限り、自然妊娠は私が理由で厳しいと思われていました。

しかし、2016年夏に再婚した今の妻は妊娠しました。

私は自分の体質を何とかしたくて工夫と努力をしたことがいくつかあります。

それについてはいずれ書きたいと思います。

いかがでしたでしょうか。

男性不妊に関する検査や、その中での1つの疾患についての経過をご理解いただけたかと思います。

今回の内容をきっかけに、不妊治療について真剣に考えていただけることを願言ってます。

特に男性の皆さん!!

気軽に女性に「検査行って来いよ」とか言わないように!

男性不妊のこの検査や手術を知れば、検査や治療がいかに大変かわかるはずです。女性のそれは、男性以上という意識で、パートナーを気遣いながら、共に歩んで行ってくださいね。

今回はここまでになります。

また次回をお楽しみに!

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